いしかわじゅんの『漫画の時間』を読んだ感想やゴリラーマンの絵柄が変わったお話


いしかわじゅんの『漫画の時間』を読んだけど面白かった。
それぞれの文章の終わりの文や最後の一言に自分の気持ちを吐露するというパターンがしばしばあって、そういうのが続くのは個人的にはあまり好きではないし語られている事に必ずしも説得されるわけではなかったけれど、この人は漫画という表現を大切にしてるんだなーっていうのが伝わってきたしとにかく読みやすかった。

 

『ゴリラーマン』に関する文章の中に、『ゴリラーマン』の絵柄が途中で変わったというエピソードが書いてあって、そうそう、そうなんだよ!あれビックリしたって!と久しぶりに思い出した。 『ゴリラーマン』は当時弟が単行本を買っててそれを読んで自分ははまったんだけど、途中から急に絵柄が丸っこくなってキャラの頭身も縮んだりしてそれにすごく違和感を感じたしなんか不快になってしまってそれ以後ゴリラーマンがあまり好きじゃなくなったのだった。 その絵柄の変化にびっくりして弟や知合いの『ゴリラーマン』好きな人にその事を聞いても反応が鈍くって特に変わってないんじゃない?みたいな事言われたのもショックで、改めて単行本を読み返したりもしたのだけど、確かに丸っこい線は昔から所々にあったしでもそういう出方とは全然違うレベルでの線が変わってしまったと思うんだけど自分はノイローゼなのだろうかとか当時思ったものだったけど、良かった。自分はノイローゼじゃなかった。少なくとも自分だけがノイローゼじゃなかった。 

 

それはともかく、『ゴリラーマン』が終わった後に始めたハロルド作石の次の連載漫画も少し読んだけど線がもっと丸っこくもっとクセが強くなってて好きになれなくて、それ以後『バカイチ』も何となく手に取ってパラパラページをめくってみる事はあっても買ったり読んだりする事はなかった。 『BECK』も面白いという噂はネットでもよく見かけたし書店や新古書店へ行くと目立つ所に置いてあって、なんか気にはなったんだけど読むとか買うまではいかないままずっと最近まで来ていて、『BECK』がアニメ化されてアニメの1話を見たのをきっかけにして、しかたない、ちょっくら立ち読みでもして見るか的に横柄な理由で積極的な動機でなしに読んだのだった。 いやかなり面白かったし画も『ゴリラーマン』の頃より巧くなってるし絵柄も全然不快じゃなくて、何で今まで読まなかったんだ!とか立ち読み程度の分際で思ったわけなのだけど、いしかわじゅんは、あの絵柄の変化を作者が逃げた後でアシスタントが描いたか作者本人が飽きたからではないかと推論していたけれど、結局の所あれはなんだったんだろうか。 漫画業界の暗黒面を見てしまった気がして怖くなってたあの頃。
コミックHのハロルド作石インタビューとかでその事発言してるのかなあ。してないだろうな。