数日前から石ノ森章太郎の『009ノ1』を借りて読んでいてこれが結構面白いのだな。 今までこの漫画は、大分昔にサイボーグ009と間違えて手に取った時に1話くらい軽く読んだ程度で、まとめてちゃんと読むのは今回が初めてなんだけど、ちょっと侮ってた。 これは読むだけじゃなくて買って持っておきたいかも。 内容的にはたいがいが1話で完結する女スパイ物なのだけど、エピソードとしては「古城よりの招待状」や「青銅の男」とかが個人的に好きで、海沿いの崖とか変な所に怪しげなお城があったりして、何だか怪奇映画っぽいのがいいなぁと思うというか、「古城よりの招待状」は大きい鎌の振り子が出てきたりして、絶対石ノ森はロジャー・コーマンの『恐怖の振子』を見ているはず!とか適当な事を思いめぐらせるのが楽しかったな。 んで、『009ノ1』を読んでいて一番ショッキングだったのが下記のセリフ。

キミの武器は分かっている。
その可愛いボインが恐ろしいボインに変わる瞬間に…
ボクはこの手の中のスイッチを押せる

すごすぎる。 こんな言い回しを思いつける人はなんか分からないけどすごいと思う。 ただ思いついても実際に女の人に言う人はおかしい人だと思う。 このセリフをニヒルな顔つきで二重スパイの黒人の男が言うんだけど、話自体はシリアスで、この男の死に様に笑いつつも他の話と同じく切ない読後感だったりするのだった。 ちなみにこの話は『009ノ1』の中公文庫コミック版3巻に収録されている「R&B」というタイトルのもの。 この中公文庫コミックは背表紙に、その巻に収録してある話のタイトルが載っていて便利だなと思った。