手塚治虫対談集の『続「虫られっ話」』という本を読んでいたら、鶴見俊輔との対談の中で鶴見が古代マヤではテニスか何かの試合で勝った方の人が「勝利の恍惚の中で死ぬ資格を与えられる」とか南米・中米や日本ではしゃがんで休むけど白人は立って休むなど、昔どこかで自分も聞くか読むかした発言をしていたので気になって少し調べてみた。 ただ探し方が悪いせいもあると思うけど民族か人種かによって休み方が違う話は見つけられなかった。 対談ではテニスコートと書いてあったけれども、どうもテニスとバスケとサッカーが混ざったような球技らしい。 「勝利の恍惚の中で死ぬ」っていうのは、それに関連があるか分からないけどどこかのサイトには首を切られる前に麻薬を使ってたのでは的な事が載っていたけれど、本当に勝った者が生け贄として殺されたのかも含めて結局よく分からなかったなぁ。 まぁマヤ文明関係の本とか読むともっと詳しい情報が得られるのかも知れない。


チチェンイッツァの遺跡
http://www.y-asakawa.com/mekishiko-gazo/chichenitua1.htm
その様子を彫ったレリーフの画像
http://www.y-asakawa.com/mekishiko-gazo/thithen_kyugijyo3.jpg

マヤ人の球技は、娯楽ではなく、神への祈りを捧げる宗教儀式であった。そのため、球技に勝ったチームの主将は、大変な名誉を獲て、首を切られ、神への供え物となったといわれている。(敗れたチームの主将の首が切られたという説もある)

(関連) 球技における名誉
http://homepage1.nifty.com/endow/all%20mexico/mexico%20htmls/mexico_4_kyuugini.html


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同じく『続虫られっ話』で手塚治虫がアニメに関して少し印象に残った発言をしていたので引用。

  話はちょっと変わりますけど、動画でね、いかにお金を少なく使って面白いものを見せるかということを試してみたんです。それでつくったのが「鉄腕アトム」だったんですけど、あれはですね、普通あれだけの長さのマンガ映画ですと、絵を6000枚から7000枚、多いときは1万枚描かなきゃならないのを。一番最初は1500枚にとめたんです。1500枚っていうと3秒間に1枚ぐらいの絵しか写らないんですね。3秒に1枚というと動いてないっていうことですよ。紙芝居なんですね。例えば口が動くんですけど、口を動かすのをごまかすために向こうを向かせちゃうんです。で、なぐるときは1枚の絵でポンとなぐったところを瞬間に見せて、その次に相手がなぐり返したのを見せる、つまり止めでね、パッパッと変えていった。ひどいなぐり合いになりますとそれを40枚か50枚描いてですね、けっこう1分くらいもたせる。これはずいぶんみみっちいからおそらくみんなから非難ゴウゴウだろうと思ってたら、どっかの新聞に「手塚さんは歌舞伎の手法を取り入れた。非常に止めのポーズを大切にしている。これは日本でなきゃできないユニークな発想だ」などと書かれたことがありましてね。
  結局動かせば動かすほどお金はかかるし、そしてじゃあ動いたら自然に近くなるからみんな非常に関心するかというと、そうでもないんですね。なんだ本物のほうがよく動くじゃないかっていう批判になってしまう。逆に止めたもんだから、止めの面白さみたいなのが出ちゃったんじゃないかと思うんです。
  ところがそれは、あくまでもテレビの話でしてね。これを大きな画面で劇場にかけますとね、この止めっていうのはとてももたないんです。大きな画面の中に止まった絵がジーッと写ってますとね、観客はザワザワしちゃってみてくれない。しょうがないんでそのときには同じ止まっている絵をですね、3枚か4枚別の紙に写しましてね。もとは同じ絵なんですけど、こうやって合わせてすかして見ますと、やっぱり人間の書いた絵だから少しずつ違うんですね。それを交互に撮影していったんです。そうするとですね、パッパッと動いてピタッと止まったとき、止まってもじっと見てるとブルブル震えてるんですね。これは非常に効果がある。ということはいかにも生きてる人間がピタッと止まったときでも、その人物は生きてるような効果が出るんです。これは歌舞伎の俳優がピタッと決まったポーズで止まる。止まっても肩で息してますね。こういう魅力みたいなものにつながるんじゃないかと思うんですね。そういう点ではディズニーっていうのは大変偉くて、フィルムを見ますと止めてある絵でも何枚描いてあるか知らないですけど、10枚か20枚の繰り返しで動かしてるんです。少しずつ体を揺すってるんです。こういうのを計算して描いたというのは、やっぱりキャリアだと思うんですね。


(『手塚治虫対談集「続虫られっ話」』P33〜P35 止めの面白さ)

文中の数字は自分が読みやすいように英数字に変えました