M-1グランプリ2004決勝 を見たことなど


今回のM-1グランプリは大爆笑をとるコンビが少なかった感があったり笑い飯がはずしてしまったり雰囲気が今までと少し違ったりなどあっていまいちという感想もちらほらあるようなのだけれども、自分的にはそれぞれのコンビは面白かったし色んな漫才のパターンが見られたし十分満足出来るものだった。 紳助と松本がいなかったせいか、出演者や審査員、司会の今田など、良くも悪くも緊張感が今までよりは少ない雰囲気で、来年どうなるか分からないけどこれはこれでいいかなと思えたし、他のバラエティのように今田が色々人を弄りすぎな面もあったけど紳助、松本がいない分頑張ってたと言えるし笑いはとれてたし、出場したコンビもやりやすかったのではないだろうか。 今回進行がスムーズなのも気持ちよかったのだけれども、それはたぶん西川きよしが審査席にいたおかげで進行のさまたげにならなかったからだな。 井上和香もしゃべりをとちったり声ふるわせながらも堂々と司会のサポートをやり切ったと思う。 以下いいかげんな感想を。


千鳥 ― 千鳥は場を暖められないまま漫才が終わってしまったな。 前回の方が面白かったと思うけど今回も良さが出せなかった感じ。 でも今回現場が緊張感が少なかったせいや今田のフォローもあって番組的には最下位の重さが和らげられてたし最下位をネタに出来てたのが救いだったかも。


タカアンドトシ ― 前に漫才を2度くらい見た時には普通の漫才をやっていたので特に期待はしてなかったけど、かなり漫才が巧いコンビだと思った。 メリハリあって面白かったけど自分達の漫才が既に出来上がってる感じなのでこれ以上の成長は無いような気も。 ボケの人が突っ込みにボケ突っ込みをする時の早いタイミングがなんか、関東の昔の漫才師で誰か、ビートたけしかなぁ、少し似てるような気がした。


東京ダイナマイト ― 自分はこのコンビは初見だったけど、突っ込みのはちみつという人の方が緊張してて声が張れてなくて突っ込みが軽く聞き流されてしまってたのが残念だったかなぁ。 元々淡々と突っ込む感じなのか分からないけどはちみつがしゃべるたびに流れが途切れてしまてったと思うし、何よりタクシーのコントでタクシーが走ってるような雰囲気が作り出せてなかったのが大きな敗因だったのでは。 でも自分達のノリを出してしゃべれてたら全然面白くなってそうな感じなのでまた見てみたいと思った。 まぁ遅くてもM-1リターンズで見られるかな。


トータルテンボス ― これもまた失礼な話だけどグランプリ前はこのコンビが最下位じゃないかと思っていたけど、思ってたより全然面白かった。 使ってる言葉は違うけどオーソドックスな漫才じゃないかなぁ。 最後にやる「今週のハイライト」でオールザッツ漫才で見てたの思い出したけど、あの部分は面白くないと思う。 チンピラだか今時の若者だかが立ち話してるような感じが、もちろん誇張されてるのだけど、そういうノリが出てたのが良かった。 このコンビに限らず、ここ数年はボケに突っ込みが否定せずに乗っかるパターンをするコンビが増えた気がする。 シャンプーハットオールザッツ漫才で衝撃的な活躍をした時あたりには、少なくとも関西ではボケを否定しない漫才は見かけなかったよなぁ。 まぁ自分が無知なだけかも知れない。 そういやメンバメイコボルスミ11ってどんな漫才やってたっけかな。


南海キャンディーズ ― 1度目のネタは何度も見てるのでそんなに面白いと思えなかったし、ネタが変に巧くなってて突っ込みの面白いボケも聞き慣れて全体として段取り上手にしか思えない感もあったけど会場がかなり笑ってたので初見の人とか面白かったのかも。 手術の途中で患者にスプレーかけて、「先生、患者からほんのりレモンの香りがします」って言う下り好きなのだけど、抜いたのが飛ばしてしまったのか無かったのと心臓マッサージをするのにしずちゃんが突っ込みボケする時の言葉が、「うどんこねてる」以外に面白いフレーズあったと思うんだけど、その辺が残念だったかな。 あとしずちゃんが「先生」を「店長」と言い間違えたのは美容院ネタと間違えたからと思う。 自分的には2度目のネタの、特に砂浜で追いかけっこをしてる途中で痰を吐いてまた追いかけっこするのがかなり面白かった。 とにかく今回2本ともパワーが出せてて良かったんじゃないだろうか。 これで知名度も人気もあがるのでは。 ただ何度も見てると、やってる事同じやん!と思われて飽きられるかも。 突っ込みの人が巧いとか面白いという意見がけっこうあって、実際うまいし言葉を選ぶセンスがあると思うけど、審査員のラサールか突っ込みが全部はずさないと言っていたように、実は全部の突っ込みでひねった突っ込みを入れる事でかえって突っ込みが単調になってる所があると思う。 どっかはずすというか所々ボケを流したり普通の突っ込みしとかないとネタに緩急がつかないと思うのだけど、こういうのってボケも突っ込みも全部突っ込みの人が考えているせいもあるのかなぁ。 いやよく知らないけど。


POISON GIRL BAND ― 今までネタをちょっとしか見てなくて全部見るのは初めてだったけど、かなり面白かった。 自分の中では今回ではポイズンが一番面白かったな。 ただ好きなだけかも。 アホみたいな会話が延々続くのがいいなあ。 でも話が全然先に進まないのだよな。 それがなんかすごいと思った。 たとえば比較される事もあるおぎやはぎと比べた時に、おぎやはぎはボケたり突っ込んだり応援したりしつつとにかく話は進んでいくのだけれど、ポイズンは全然進まないでいつまでも帽子がどうのとかボケのバリエーションが続くばかりで話自体は横に逸れ続けてるんだよな。 あと、お互いに相手の言った事をずらしつつも輪唱するように繰り返して言うから話がなかなか先に進んで行かないってのもある。 そういうのも面白いと思う。 南海とポイズンは来年もっと売れて欲しいな。


笑い飯 ― 今回は順番が7組目で、お客さんが笑い疲れて来ていたのと南海、ポイズンと決勝初進出で変化球なネタのコンビが続いた後だったのもあるし、その2組と比較されたら新鮮みも驚きもなかったのではないだろうか。 同じネタでも日によって出来の善し悪しの激しいコンビではあると思うのだけど、今回も別にコンディションが悪くはなかったし出だしは受けてたんだけど、途中からお客が離れていったというか、笑いが減って行くのをくい止められなかったなぁ。 漫才は巧くなってるけど会場の空気を変える爆発力がなかった。 今回の漫才で笑い飯の評価は下がったと思うけど今まで持ち上げられ過ぎな感もあったので長い目で見てコンビ的には良かったのかも。


アンタッチャブル ― 1回目も2回目も凄かった。 気合いが入りすぎてるのか突っ込みが叫びすぎで聞き取りづらい所もあったけど、テンポでカバー出来てたしやっぱこの突っ込みの人は巧い。 ほんとこのコンビは爆発力があるなぁ。 会場の空気を一気に自分達のやりやすい空気に変えるのはテンションだけでは出来ない事と思うし、あと今すごく脂が乗ってるのだろうな。 何もかもがうまくいってるようなネタ運びだったと思う。 優勝はこのコンビ以外あり得なかった。 南海の爆発力もすごかったけど。


麒麟 ― 麒麟は「その頃アフリカの子供達は…」と笑顔で言うような不謹慎ぎみな所がいと思うのだけど、どんどん普通の漫才になっていってる気がする。 M-1グランプリ第2回の時の落選した後でボケの川島が、意外性のある裏切るようなネタを期待されてそれに応えようとしておかしくなってた的な事を言っていたけど、今の麒麟って川島の特徴的な声の事を言われてそれを意識したネタ作りをし過ぎてしまってるような気がする。 あと田村は声に抑揚がつけば良いのに。 これからもうひと変化して欲しいな。


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審査員のラサールは直前番組の方が緊張して顔ひきつってたな。